実況怪談
- 分類
- 語りと場
- モチーフ
- 語りの場
定義:当事者が異常事態を進行中に逐一報告する形式で語られる怪談。携帯端末と匿名掲示板の普及を条件として成立した。
もとの意味
廣田龍平は、当事者が異常事態を逐一報告する「実況」を、携帯端末が普及した21世紀ならではのネット怪談の特徴として挙げ、その代表例にきさらぎ駅を名指ししている。
ただし、語り手と聞き手の共同で怪談が生成される場そのものは新しくない。口承文芸は、語り手だけでは成立しない。必ず聞き手の相槌に支えられている。江戸の百物語は、参加者が順に語ることで怪異を「呼ぶ」座敷の装置だった。語りの場とは、語り手と聞き手のあいだの共同制作である。
飯倉義之は、この種の参加型の怪異を、ネット利用者による怪談体験の「ごっこゲーム」への参加として分析した。ごっこ遊びとは、参加者全員が虚実を綯い交ぜとした異空間を共有する遊戯である。百物語からの連続の上に置くと、実況は器の更新であって、発明ではないと読める。
怪談での使われ方
実況形式は、二つの効果を持つ。
ひとつは、結末の不在が自然になること。書き込みが途絶えれば、それがそのまま結末になる。
もうひとつは、聞き手が細部を補うこと。読者の助言・検索・指摘が物語に取り込まれ、事後には誰の発案か判別できなくなる。
用例
類話
出典
板倉君枝. 「『口裂け女』から『きさらぎ駅』まで:都市伝説の変容から振り返る昭和・平成の日本社会」. nippon.com. 2019-12-27. https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g00789/, (参照 2026-07-22).
廣田龍平. 『ネット怪談の民俗学』. 早川書房, 2024, (ハヤカワ新書). 序章.
※ 飯倉義之による指摘は、板倉(2019)を介した参照であり、飯倉の原論考にあたっていない。
この語を使っている話
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最終更新:2026-08-21 / 訂正履歴